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准看護師がなくなる?看護師との統合論についてご紹介します

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看護現場でさまざまな看護業務や診療補助を担当する「准看護師」ですが、昨今は職業そのものの廃止が検討されるようになっています。准看護師は看護現場に欠かせない職業である一方、「正看護師」と明確な違いがいくつもあるため、統合して一本化する意見も出ているのです。そのため現在准看護師として働いている方は、今後の動向に注意が必要となるでしょう。

本記事では准看護師がなくなる可能性や、廃止が検討されている背景について解説します。

准看護師はなくなる可能性がある?

准看護師は看護現場や介護現場で活躍する職業のひとつで、血圧や脈拍の測定、点滴の作成や投与、食事・入浴の介助といった業務を担当します。いずれの仕事も看護現場で多くの人の生活をサポートするものとなっているため、准看護師の重要性は広く認知されているのです。

一方で、准看護師は正看護師とは違い、独自の判断で看護業務を実行できません。正看護師と同じ業務を担当することはできても、実際にその仕事を行うためには医師や看護師の指示を受けなければならないのです。そのため看護現場においてスピーディな対応を行うのが難しく、業務がスムーズに行えないと悩む准看護師の方も多くなっています。

また、准看護師は正看護師と違い、求人数や就職時の条件で冷遇されることもあり、満足のいく職場環境で働けないケースも増えています。他の看護職(保健師・助産師など)へのキャリアアップも難しく、看護師と違って研修などの機会も少ないため、スキルアップがしづらいという悩みを抱えている方も多いのが現状です。

そんな准看護師の課題が浮き彫りとなった結果、「准看護師がなくなる」という話が出ているのです。

准看護師の廃止について意見は二分している?

准看護師がなくなるという話が出ている一方で、廃止という決断は早すぎるとする意見もあります。日本医師会と日本看護協会で准看護師の廃止に関する見解がはっきりと二分されているため、以下でそれぞれの意見について確認してみましょう。

日本医師会の意見

日本医師会は、准看護師の廃止という動きに対して明確に反対の意見を出しています。准看護師は地域医療に貢献し、初期医療(入院や手術を行わない医療)の分野で重要な役割を担ってきました。そのためもし准看護師という職業がなくなれば、これまで地域医療を支えてきた土台が崩れ、人員の確保が難しくなると懸念しています。看護師不足の解消にも貢献してきた実績があるため、仮に廃止されれば多くの職場が人手不足に陥る懸念もあるでしょう。

日本医師会は、准看護師にはこれまで通り正看護師と一緒に現場で活躍してもらい、役割を分担して働くことを求めています。医療の高度化や複雑化が進むことで、准看護師と正看護師の役割はますます大きくなることが予想されるため、廃止には反対しているのです。

日本看護協会の意見

一方で日本看護協会は、患者さんが求める環境を整えるためにも、准看護師は廃止して看護師に一本化することを目指しています。准看護師は先に解説した通り、医師や看護師の指示がなければ業務を行えません。医療の安全性が重要視される昨今、適切に看護業務をこなすためにも、自己判断で仕事ができない准看護師の存在は見直すべきだと考えられているのです。

このように2つの意見が真っ向から対立している結果になっているため、現時点では准看護師がなくなるかどうかは判断できません。

准看護師の廃止が検討される理由

准看護師の廃止が検討される理由には、さまざまな背景が関係しています。以下では、准看護師の廃止がなぜ議論されるようになったのかを解説します。

准看護師を目指す人が減少している

准看護師は元々、最短2年間で就職できる点がメリットとして人気を博していました。しかし、近年は正看護師との違いや今後のキャリアを考慮して、准看護師を目指す人は減少しています。

日本看護協会が提示する「准看護師養成の推移」によると、准看護師になれる学校・養成所への入学者数は、2000年から2020年の間に1/4にまで減少しているのです。2000年には約25,000人いた入学者数が、2020年には約7,000人にまで減っています。

また、同調査によると、准看護師を養成する学校や養成所の数も減少していることが分かっています。こちらも2000年から2020年までの間に、半分以上なくなっているデータがあります。なかには准看護師になれる学校や養成所がない自治体も増えてきているため、今後はますます准看護師になる人は減っていくと予想されるでしょう。

参考:https://www.nurse.or.jp/aim/jyunkan/pdf/genjyo.pdf

准看護師として現役で働いている人も減少傾向

准看護師として現役で働いている人も、年々減少している点も課題とされています。厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、2010年から2020年までの10年間で、准看護師として就業している人の人数は8万人以上減少しています。

一方で看護師の就業者数は増加していて、2010年から2020年までの10年間で30万人以上増えているのです。このことから准看護師になる前に、最初から看護師を目指す人が増えていると予想できます。

参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/20/dl/gaikyo.pdf

准看護師がなくなる場合、現職の准看護師にどんな影響が出るのか?

上記のような理由から、准看護師がなくなるという話が進んでいます。もし仮に准看護師がなくなることになった場合、現在働いている人たちにどのような影響が出るのでしょうか。

以下では、准看護師がなくなる場合に考えられる現職の准看護師への影響について解説します。

准看護師の資格が剥奪されるようなことはない

仮に准看護師がなくなることになっても、現在働いている人たちの資格が剥奪されるようなことは起きないでしょう。あくまで新規で准看護師を養成することがなくなることが検討されているため、現職で働いている人たちがいきなり仕事を奪われる心配はないと考えられます。

しかし、准看護師の仕事がなくなれば、新しい求人募集も行われなくなると予想されます。転職や再就職が難しくなる可能性があるため、その点は事前に確認しておきましょう。

正看護師へのステップアップが求められる

准看護師がなくなる可能性を心配するのなら、正看護師へのステップアップがおすすめです。准看護師の資格を所有している場合、最短2年で看護師の国家試験の受験資格を得られます。短期間の学習で看護師になるための準備ができるため、現在准看護師として働いている方はこの機会に看護師へのキャリアアップも検討されるでしょう。

まとめ

准看護師は看護現場に欠かせない存在ですが、今後はなくなる可能性も否定できません。現在准看護師として働いている方は、将来を見越して今から看護師になるための準備を進めることも重要な対策になるでしょう。 准看護師から看護師を目指すのなら、「藍野大学短期大学部」の「第一看護学科」がおすすめです。2年間で看護師国家試験受験資格を得られる国内唯一の短期大学として、多くの准看護師を看護師にキャリアアップさせた実績があります。この機会に准看護師から看護師を目指すために、藍野大学短期大学部への入学を検討してみてはいかがでしょうか