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看護師の働く場所は?病院以外でも働ける場所は?

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看護師は主に患者さんの看護を仕事にするため、病院に就職するケースが多いです。病院で医師や准看護師、その他理学療法士や作業療法士などさまざまな職業の人たちと連携して働くことが、看護師の仕事になるでしょう。

一方で、看護師の需要はさまざまな業界で高まりつつあるため、昨今は病院以外の職場で働く人も増えています。病院以外の選択肢も考えられるようになれば、看護師として自分が働きやすい職場を選べるようになるでしょう。

本記事では看護師の働く場所について、現状と将来の両方に注目して解説します。

看護師の働く場所は病院がもっとも多い?

看護師の就職先にはいくつかの種類がありますが、もっとも多いのはやはり病院となっています。厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、病院に勤務している看護師の割合は全体の69.0%にもなります。128万人の就業者数のうち、実に88万人もの看護師が病院を働く場所に選んでいるのです。

続いて看護師の就職先として多いのが「診療所(13.2%)」「介護保険施設等(7.9%)」「訪問看護ステーション(4.9%)」となっています。これらの数値を見てみると、病院への就職率が圧倒的に高いことがううかがえるでしょう。

ちなみに准看護師の就職先も、もっとも多いのは病院となっています。しかし、その割合は35.7%となっていて、看護師と比較すると少ないのが目立ちます。続いて准看護師の就職先として多いのは「診療所(32.5%)」「介護保険施設等(24.8%)」「社会福祉施設(3.7%)」となっています。看護師と比較して准看護師の方が、既に幅広い職場で活躍していることが分かります。

参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/20/dl/gaikyo.pdf

上記の「就業場所別にみた就業保健師等」のデータを参照

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なぜ看護師の働く職場は病院が多いのか?

上記のデータを見ると、看護師の働く職場として病院の割合は圧倒的なものとなっています。これは単純に病院にはたくさんの看護師が必要となるため、求人数が増えやすい点が関係していると考えられるでしょう。

病院の規模が大きくなるほど、受け入れる患者さんの数は増えるため、その分多くの看護師も必要になります。結果的に求人をたくさん出して看護師を雇う必要性が出てくるため、就職先としての割合が高くなるのです。

また、病院は安定した職場としてのイメージが強いため、新卒で就職する看護師にも人気があります。大手病院に就職できればさまざまな業務を経験できるため、スキルアップにもつながりやすいのも魅力です。仕事の実績が認められて看護師の管理職になれれば昇給などにも期待できるので、看護師側からも積極的に就職先として選ぶ傾向が強い点が特徴です。

その一方で、病院によっては仕事内容が激務となって体力・精神的に辛くなり、離職者が増えるケースも多いです。離職者が増えれば残った看護師にその皺寄せがいくため、より仕事が辛くなるという悪循環に陥ってしまいます。看護師の待遇改善を考えない病院に就職してしまうと、キャリアプランに影響が出るだけでなく、健康面に被害が出るリスクもあるでしょう。

そのため必ずしも病院への就職が、看護師にとってメリットがあるとは限らないのです。その病院の評判や看護師への対応をしっかりと確認し、安心して働ける場所か判断する必要があるでしょう。

看護師は病院以外でも働ける?

看護師の働くフィールドは、病院以外にも広がりつつあります。医療業界だけでなく、他業界からの求人も多いため、積極的に探すことで意外な仕事を見つけられる可能性もあるでしょう。

以下では、看護師が働ける病院以外の場所について解説します。

介護・福祉業界の職場で働ける

看護師は介護・福祉関係の業界でも需要が高く、働ける職場が増加傾向にあります。具体的には以下のような施設が、看護師の働く場所として広まっています。

・特別養護老人ホーム

・介護老人保健施設

・介護療養型医療施設

・児童福祉施設

・身体、精神障害者支援施設

・保健所、保健センター

例えば介護施設の利用者である高齢者を対象に、バイタルチェックや口腔ケア、薬の管理などを行うことが看護師の仕事になり得るでしょう。基本的に看護師だけで医療行為はできませんが、医師の指導を受けられる環境にある場合、採血や点滴といった行為も業務上可能となります。

超高齢化社会が進んでいる日本にとって、介護・福祉系の仕事は常に人手不足となっています。特に医療に関する専門知識を持つ人材は貴重なため、多くの職場で必要とされるでしょう。

病院とは違って比較的体力に負担がかからない職場が多いため、介護・福祉業界への就職は看護師のセカンドキャリアとしても考えやすいです。

訪問看護業界でも働く機会が増えている

看護師は病院に常駐して働くだけでなく、患者さんのもとに訪問して医療行為を行う訪問看護の現場でも活躍する機会が増えています。例えば利用者の自宅に直接出向いて看護を行う「訪問看護ステーション」などに就職し、適切なケアや生活におけるアドバイスを仕事にするケースも増えているのです。体のケアだけでなくメンタルケアも重要な仕事になるため、病院で働くときよりも利用者と親密な関係性を築いてサポートを行う必要があります。

訪問看護業界で働く看護師は、利用者の健康状態をチェックしたり、入浴や体位変換のサポートを行ったり、医師の指示に従って注射や点滴を行うことが業務になります。また、肉体の運動機能を回復するためのリハビリを支援することもあるため、専門資格を取得していると業務範囲を広げることが可能です。

産業看護師として企業の医務室などに勤務する

一般企業が自社内に設置している医務室に勤務する「産業看護師」として働くケースも、近年は増加傾向にあります。主にその会社で働いている社員の健康・メンタルケアを行うことが仕事になり、悩みを聞いたり病気やケガに見舞われた際に応急処置を行ったりするのが役割です。

基本的に病気になる前の予防を行うのが産業看護師の業務となるため、こまめにその会社の社員の状況を管理して適切な支援を行うことが求められます。

また、看護師は一般企業だけでなく、保育園や幼稚園などで子どもたちの健康管理を行うこともあります。保育園や幼稚園を職場にする場合、園内の衛生状態の管理や子どもがケガをしたときの対応などが仕事になるでしょう。その他、保育士・幼稚園教諭として働く方々の健康面もチェックし、無理なく働けるように支援するのも看護師の仕事です。

まとめ

「看護師=病院で働く」というイメージはいまだ根強いですが、その印象は少しずつ変わりはじめています。今後は病院以外で活躍する看護師が増え、その活動フィールドはますます広がっていくことが予想されるでしょう。 この機会に看護師の国家資格取得後にどのような職業に就きたいのかを考えて、自分に合った職場を探してみてはいかがでしょうか。