看護師の将来性は?将来の看護師の需要など
看護業務や診察補助など、さまざまな仕事を行える看護師は、病院をはじめとしたあらゆる職場で必要とされています。その需要は年々増加していて、将来性にも期待される職業となっているのです。
そんな看護師を目指すのであれば、将来性や需要について理解を深め、今後の看護師に求められる役割を把握するのがポイントです。本記事では看護師の将来性と、職業としての需要について解説します。
看護師に将来性はある?
看護師の仕事には、将来性があると判断できます。看護師が行うべき仕事や担当領域はいくつもあるため、病院などの医療機関をはじめとしたさまざまな職場で、今後も看護師は必要とされるでしょう。将来的に看護師の需要が縮小していくことは想像しづらいどころか、さらに拡大していくことが予想されるため、今以上に看護師の立場が重要視される未来がやってくる可能性があります。
そのため今から看護師の資格を取得して実績を重ねておくことが、自分自身の将来性を高める結果にもつながるでしょう。
少子高齢化が進むことで需要が拡大している
看護師の将来性が期待される背景にはいくつかの理由がありますが、そのひとつが少子高齢化による高齢者の増加です。既に日本は超高齢化社会と呼ばれる水準にまで達していて、高齢者の人数が全人口における大きな割合を占めています。そのため今後は高齢者の生活を支える仕事の需要がさらに高まり、多くの人手を必要とするでしょう。
看護師は看護および日常生活における介助を仕事にする職業であるため、高齢化社会において非常に高い需要があります。そのため少子高齢化が加速する現代において、将来性はあると言えるでしょう。
特に近年は健康に年を重ねることに重きを置いている人が多いため、健康年齢を延ばすためのスキルを持つ職業への需要は高まっています。看護師は直接健康年齢を延ばすための指導や支援を行う職業ではありませんが、ケガや病気によって不便な生活を送ることになってしまった人たちの回復をサポートすることは可能です。
そのため高齢化社会において重要視される職業のひとつとして、今後も看護師の活躍には期待が集まるでしょう。
活躍できる業界も広まっている
看護師が活躍できる業界は、近年ますます増加傾向にあります。従来は病院に就職して患者さんの看護を行うのが一般的な流れでした。しかし、昨今は介護・福祉業界、訪問医療による自宅での支援、一般企業のオフィスに設置された医療室での対応、保育園・幼稚園における衛生管理や園児の健康支援、その他看護師として働いてきた実績を活かした講師活動など、さまざまな方法で活躍が可能です。
業務範囲や対応できる業界の種類が増加している点もまた、看護師に将来性があると判断する理由になるでしょう。
AIなどに仕事を取られる心配がない
看護師は昨今多くの職場で取り入れられている、AI(人工知能)などに仕事を取られる心配がない点も、将来性のある理由です。AIは患者さんの容体チェックや、認知症患者の徘徊を即座に感知してアラートを鳴らすなどの形で医療現場に取り入れられています。しかし、それはあくまで医師や看護師の業務をサポートする役割として導入されているにすぎないため、将来的にAIによって仕事が奪われることが考えづらいでしょう。
看護師の仕事には患者さんの感情や求める情報を瞬時に読み取ったり、コミュニケーションを通してメンタルケアを行ったりといった業務も含まれます。そういった人間同士の接触が重要視される業務はAIで代替できないため、看護師の役割はこれまでと変わらず重要なものとなるでしょう。
むしろAIやロボットの導入によって、医療現場における看護師の負担が軽減されることに期待されています。患者さんの移動を支援するロボットや、入浴や排泄を介助するロボットが現場で活躍するようになれば、激務に悩まされることの多い看護師も少なくなると予想されるでしょう。
AIと協力体制で仕事ができる点もまた、看護師に将来性があると言われる理由となっています。
看護師は将来性がある一方で課題も多い
看護師は将来性がある一方で、さまざまな課題を抱えているのも事実です。以下では、看護師が抱える課題の現状について解説します。
医療技術の発展によってプロフェッショナルな看護師が求められている
近年はどんどん医療技術が発展しているため、医師だけでなくそれを補助する看護師にも特別なスキルが求められるようになっています。医療知識に加えて、専門の機器を使って看護を行う技術なども必要になってくると予想されるため、よりプロフェッショナルな看護師が現場で重宝されるでしょう。
あまりに看護師の仕事のハードルが高くなりすぎると、就職したいという人が減少し、人手不足に陥る危険があります。医療現場の発展と看護師に求めるスキルのバランスをどう取っていくのかが、今後の将来性を決定づけるポイントになるでしょう。
小規模な病院や地方病院では看護師不足が課題となっている
都市部の大病院などでは多くの看護師が働いていますが、その一方で小規模な病院や地方にある病院では看護師不足が顕著になっています。看護業務を担当してくれる人が増えないため、現在働いている看護師の負担が重くなり、結果的に離職につながってしまうという負のスパイラルに陥っている職場も多いです。
今後は小規模病院や地方病院がどのように看護師を確保していくのかも、重要な課題となり得るでしょう。
看護師の将来性を活かす取り組みも進められている
看護師は将来性のある職業として認知されていながら、その労働環境や待遇面が良いとは言えない職場も多いです。そこで政府は看護師や准看護師などの看護職を対象に、「看護職員等処遇改善事業」を2022年2月より実施しています。2022年2月~9月の期間で毎月1%(4,000円)の収入アップが行われているため、2022年における看護師の年収はそれだけで32,000円ほど上がることになるのです。
2022年10月以降も給料アップの流れは継続するとされているため、今後は給料面の待遇改善が進むと予想されます。
また、過酷な労働環境を改善するための改革が少しずつ進んでいることも、看護師の将来性を活かす取り組みの一環として注目されています。例えば人員を多めに確保することで夜勤に入る回数を減らしたり、残業時間を削減してワークライフバランスを充実させたりといった取り組みが実際に行われています。
「看護師はハードな環境が当たり前」という意識を変えていく取り組みが、多くの職場で進みはじめている点もまた、看護師に将来性はあると判断できる理由になるでしょう。