茨木市健康医療部健康づくり課×藍野大学短期大学部メディカル・ヘルスイノベーション研究所 「若年層向けの自殺予防デジタル教材の開発」
警視庁データによると、令和2年における自殺の状況は全国で約21,000人、そのうち39歳までに自殺する人が約5,900人で全体の30%を占めています。さらに10代から20代の人をみると年間約3,300人が自ら命を絶っており、特に20歳未満の自殺者は年々増えています。
たとえ自分自身は自殺を考えたことがなくても、自殺を考えるほどの悩みを抱えている人が周囲にはいるかもしれません。
自殺の背景は、病気や障害などの健康問題、失業や倒産、多重債務、長時間労働などの社会的・経済的問題、職場や学校、家庭の問題といった様々な社会的要因が複合的に絡み合い、心理的に追い込まれてしまった末のものです。 また、「死にたい」と考えている人自身も、「生きたい」という本心との間で激しく揺れ動いており、自殺に至る前に何らかのサインを発していることが多いことから、自殺はその多くが防ぐことのできる問題です。
しかし、自殺を「自ら選んだ死」というように個人の自由な意思や選択の結果としてとらえ、場合によっては「生死は最終的に本人の判断に任せるべき」とする考え方も根強くあるのが実情です。
こうした現状を変えるため、茨木市自殺対策ネットワーク連絡会の会員である藍野大学短期大学部メディカル・ヘルスイノベーション研究所(所長:佐々木惠雲学長)の協力の下、茨木市健康医療部健康づくり課において、若年層向けの自殺予防教材の開発に着手され、この度、完成いたしました。この自殺予防教材は茨木市が実施するゲートキーパー養成講座の教材として活用しています。
自殺予防デジタル教材の開発に携わった藍野大学短期大学部メディカル・ヘルスイノベーション研究所(以下、「本研究所」という。)の足利学副所長は、次のように語りました。「自殺を防ぐためには、家族や職場の同僚、学校の友人といった周囲がサインに気づいて本人をしっかり支えていくことが重要です。そのために本研究所は、多死社会の到来による社会問題を解決するため、医学領域・公衆衛生学領域、メンタルヘルス領域、発達支援センターを基盤に、これからも保健医療政策、地域医療と協働して幅広い学際的な研究とその成果を地域に還元していきます。」